◎享保雛〔きょうほびな〕 江戸時代に流行した面長のお雛さま。面長な顔に切れ長な目、能面に似た静かな表情をしているのが特長です。衣裳は装飾性に冨み、町雛として愛用されました。男雛は両袖を張ったデザインで、太刀を差して笏(しゃく)を手にしています。女雛は五衣(いつつぎぬ)、唐衣(からころも)姿で、袴は綿を入れて膨らませ、ボリュ−ムのある雛人形です (個人蔵 竹原市内 江戸時代) |
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◎次郎左衛門雛〔じろざえもんびな〕 江戸時代に流行した丸顔のお雛さま。江戸時代、寛文(1660年代)の頃、京都の雛屋次郎左衛門が創始したというお雛さまの総称です。丸顔に細い眼、小さい唇と鼻などが特徴とされています。18世紀後半の江戸でもてはやされ、公家や上級の武家の間では流行とかかわりなく雛の本流として長く重んじられたといわれています。 (個人蔵 竹原市内 江戸時代) |
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◎芥子雛〔けしびな〕 江戸時代の中期頃より流行したお雛さま。平均の高さが10cmという小型の雛である。江戸時代中期以降、年々町の雛祭りは派手になり、その賑わいは今の私たちの想像を超えていただろうと言われています。当時の幕府は民間の雛祭りに対してたびたび贅沢を禁止するお触れを出しているようです。しかし、庶民の中で小さくても豪華で贅沢な芥子雛を求めました。杓子粒のように小さいことからこう呼ばれています。 (個人蔵 竹原市内 天保8年製) |
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◎御殿雛〔ごてんびな〕 京都では、内裏雛を飾る館のことを御殿といいますが、その中に一対の雛を置く形式を「御殿飾り」と呼びました。京阪を中心に、この様式の雛飾りが登場するのは江戸時代末期のことです。御殿は御所の紫宸殿(ししんでん)になぞらえたものと思われますが、華やかな貴族文化への憧れが育んだ復古的な雛飾りといえます。 (個人蔵 竹原市内 昭和中期) |